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自動化の先にある自律化とは?AIで実現するDXの最終段階

自動化の先にある自律化とは?AIで実現するDXの最終段階

昨今、先進的な企業は「自動化」の先の「自律化」に向けて進みつつありますが、自律化はDXにおける最終段階、すなわち理想系として捉えられています。本記事では、そんな自動化、自律化の違いを踏まえ、自律化を実現するまでの流れと成功事例を解説します。

少子高齢化による労働力不足は多くの企業が課題として抱えており、その解決策としてDX(デジタルトランスフォーメーション)、とりわけIoTやAIを活用した業務の自動化に注目が集まっています。しかしながらDXに積極的に取り組む企業では自動化に留まらず、その先にある「自律化」まで実現しつつあることをご存じでしょうか。

本記事では自動化と自律化の違いを踏まえ、自律化の実現例や、自律化を実現するまでのステップについて解説します。

自律化とは

製造業における自律化とは、システムや機械が人の介入無く、独自の判断で作業を行う仕組みを作ることです。人的リソースの削減や生産性の向上、品質の安定化、コスト削減といったメリットは業務の自動化でも得られますが、自律化の最大の特徴はこれらのメリットを日々最大化できる点にあります。

自動化と自律化の特徴と違い

「自動化」と「自律化」は似たような意味で使用される場合がありますが、実際には大きく異なります。

「自動化」は定められたルールや手法をプログラム等の形で指示し、ロボットをはじめとした設備やシステムにインプットすることで自動的に業務を遂行することです。業務の効率化は実現できるものの、不測の事態が起きた際にその都度人の手で対応する、あるいは工程に変更が生じた場合に指示内容を変更するといった必要が生じることから、人的なオペレーションが欠かせません。

しかし「自律化」では、設備やシステムが過去のデータを学習し、自らの判断で業務を遂行します。イレギュラーが発生した際の対応はもちろん、商品の仕様や企画の変更、生産量の増減といった状況の変化が生じた場合も柔軟に対応し、最適な処理を行うため、人的リソースを限りなくゼロに近づけることができます。

IoTとAIによる自律化の発展

自律化の鍵となっているのはIoTとAIの発展です。自律化においては過去の膨大なデータを取得・分析し、より複雑な判断を瞬時に行うことが求められます。しかしながらこれには、日々の設備稼働状況をどのようにデータ化するか、そして取得したデータをどのように分析し、判断につなげるかの2つの壁がありました。

IoTはデータの取得と機器の動作制御に活用されてます。設備にセンサーを取り付けるなどの形で取得したデータをシステムやデータベースへと送信することで日々の稼働データを蓄積、加えて後述するAIによる判断を受け取り、設備を制御するといったネットワークを構築するのがIoTです。

そしてAIはデータの分析と判断において活躍しています。日々変化する状況に応じて、取得した膨大なデータを分析し、最適な判断を下す過程は、AI及びその背景にある機械学習の賜物です。

たとえばIoTとAIを活用した予測保全では、設備の稼働をモニタリングするカメラやセンサーを通して取得した情報を通じて故障を事前に予測し、設備の動作を調整する、あるいは管理者に計画的なメンテナンスを促すことでダウンタイムを大幅に軽減します。

参考記事:スマート保安とは?メリットや普及への取り組み、具体的な事例を紹介

もちろん自律化をもってしても、設備機械そのものの故障を修復するには人の手が必要ですし、データセキュリティの問題といった新たな課題も生じています。しかしそれを踏まえても余りあるメリットが自律化に期待できることから、IoTやAIをいかに活用し、自律化に向けた取り組みを進めるかが製造業に求められていることは間違いありません。

製造業における自律化の実用事例

自律化は多岐にわたる応用ができ、製造業を中心にその活用事例が増えています。以下はその代表的な事例です。

ロボットによる自律作業

従来のロボットはプログラムされたタスクを自動的に実行するに留まっていましたが、AIにより自律化が可能となったことでより複雑なタスクにも対応できるようになりました。従来は熟練した作業員でしか対応できない高度な作業をロボットに置き換えられるようになり、属人化問題や人手不足の解消に向けて大きな進歩を遂げたと言えます。

工場全体の自律制御(スマートファクトリー)

スマートファクトリー(スマート工場)は、製造プロセス全体をデジタル化と、自律制御による生産効率の最大化を目指した工場を呼称します。センサーやIoTデバイスがリアルタイムでデータを収集し、その情報をもとにAIが生産プロセスを最適化。作業の効率化をはじめ、エネルギーやコストの管理、在庫管理、ダウンタイムの削減など、あらゆる側面から生産を向上させるスマートファクトリーは、人間を超える判断を24時間365日行い設備を制御する、まさに次世代の工場の姿だと言えるでしょう。

関連記事:スマートファクトリーとは?事例から学ぶ実現までのロードマップ

自律運転

自律運転技術は日常生活における関心の的となっていますが、製造業においても注目されています。工場内の物流は、AGV(無人搬送車)をはじめとした物流機器によって効率化されていますが、プログラミングや磁気誘導といった自動制御が従来の主流であり、設備や資材の配置変更に伴い指示を変更する必要がありました。これらに自律的な要素が加わることで、レイアウト変更への柔軟な対応に加え、作業者との接触やAGV同士の干渉を回避しつつも停止することなく動作し、安全かつ迅速な物流が実現できます。

自律化はDXの最終段階

ここまでに述べた自動化や自律化はDXと密接な関係にありますが、DXは主に「見える化」「最適化」「自動化」「自律化」の4段階に分かれており、自律化は自動化の先にあるDXの最終段階です。これらの4段階について、詳しく見ていくことにしましょう。

数値を可視化する「見える化」

見える化は、普段目では理解しえない情報も数値化することで客観的な分析を可能とする取り組みです。熟練作業員が持つ経験やコツといったいわゆる「暗黙知」を、誰にでも理解できる状態へと変換することで、属人化を解消するといった側面もあります。

たとえば工場の管理を行う際、機械の圧力や電流値など読み取るのに専門的な知識が必要な場合、読み取れる従業員と読み取れない従業員が出てしまうと業務の属人性が高くなります。しかし、これらの数値を誰でも一目でわかるようにすることで属人性を低くしたり、異常な数値も早期に把握できたりするためトラブルを未然に防止することが可能です。

業務効率の向上ができる「効率化・最適化」

最適化は、業務における課題や問題点をいち早く見つけ出して業務効率の向上や生産性向上につなげるステップです。

ルーティーン作業の場合、日頃の慣れから業務の課題や問題点が曖昧となりやすく、作業スピードを速めたり稼働時間を伸ばすといった力技での改善に陥りがちです。しかし、DXによる最適化を行うことで、日頃見えてこなかった課題や問題点の解決法を見つけ出し、効率や生産性向上につなげられます。

予定通りに動く「自動化」

自動化は主に「繰り返し」「ルール」「最適化」の3つの要素から成り立ちます。

繰り返しは、ルーティーン業務を繰り返して行わせることで、常にミスなく、一定の成果を出すことを目指します。ルールは、特定の条件を定めることで、対応できる業務のバリエーションは増やしつつもルールに従った範囲内の作業を自動で再現し続けられます。最適化ではセンサーやログを通して収集したデータを元に、ルーティーン業務における無駄を見つけ出し、最適なルールを見つけ出すことでパフォーマンスを向上します。

状況変化に対応し自動化から「自律化」へ

自律化は「判断」「発見」「発明」の3つの要素からなっており、あらゆる状況にも自身の判断で柔軟に対応できる状態です。

判断では、機械学習や認知機能によってこれまでに経験したことがないケースや定められていないルール以外の状況にも対応でき、最適な条件は何かを自身で判断します。発見では、これまでの経験や学習を通して新たな真実、つまり人の手では見つけることが難しい傾向や特徴を見つけ出します。発明は、発見した事実を踏まえて、これまでになかった創造物を自ら作り出し進化する、完全な自律と成長の基盤が整った状態です。

自律化で実現できるメリット

自律化はDXの最終段階ということもあり、実現により極めて大きなメリットが見込めます。ここではメリットの中から、代表的な3つを紹介します。

労働力不足の解消

生産性の向上を考えるにあたって、労働法や従業員のモチベーションの維持、ワークライフバランスの兼ね合いから、単に労働時間を増やすという解決策も難しいのが現状です。そこで、企業はリードタイムの短縮、納期厳守のために、自動化からさらに自律化という考え方を重要としています。

属人化問題の解消

特定の個人の「経験」や「勘」に頼るリスクは、現在多くの企業で課題となっています。高齢化が進み、定年による離職が増える中、知識やスキルの継承が困難となり、企業は新しい人材や既存の人材に継承するための戦略を策定する必要に迫られています。自動化、そして自律化は、組織が成功し続けるために不可欠なものであり、知識を維持・向上するために重要な役割を担っています。

関連記事:技術継承において企業が抱える課題と解決方法、成功事例を紹介

グローバル化による24h/365日対応

商圏やサプライチェーンがグローバル化するにつれ、24時間365日、刻々と変化する状況に対応することが求められています。自己診断、自己修復、自己統治が可能な自律的なシステムを持つことで、企業は変化を監視する能力を高め、より迅速な対応を可能にし、その場で迅速な意思決定を行うことができるようになります。

自律化の課題と問題点・デメリット

製造業における自律化は多くのメリットをもたらしますが、一朝一夕で実現できるものではなく、いくつかの課題や問題点、デメリットも存在します。

期間とコストを要する

自律化はDXの最終段階だと説明しましたが、たどり着くためには相応の期間とコストが必要となります。IoTやAIに対応した設備・システムの導入はもちろん、場合によっては社内の業務を1から見直し、整理する必要も生じるでしょう。各作業者へヒアリングを行い、業務における問題点や改善案、他の作業者への希望を吸い上げるなどのコミュニケーションもDXに求められます。

自律化に向けた対応や社内教育が必要

自律化は従業員に対して、それに対応するための新たな教育やトレーニングを必要とします。知識やスキルもより専門性の高いものとなり、簡単なマニュアルを共有するだけでは習得は難しいでしょう。新しい技術を理解し、自律化を適切にオペレーションするためには、IoTやAIをはじめとした全社的なITリテラシーを向上させなければなりません。

専門人材の不足

DXに関わる高度な知識をもつ人材は限られており、特に人材不足が課題となっている中小企業においては、社内でDXプロジェクトを推進できる人がいないといった場合も珍しくありません。DXは大規模な取り組みであり、十分でない知識の中、片手間で進めることは決してできません。そのような場合は外部の人材会社やコンサルティング会社、システムベンダーと連携するなどの対応が必要となります。

自律化に成功した企業の事例

それでは、すでに自律化を導入している企業の事例を見ていきましょう。どのような取り組みを行い、どれだけの効果を得ることができたのか、その一端をイメージできるはずです。

AI自律制御:横河電機株式会社/JSR株式会社

横河電機株式会社とJSR株式会社は、共同実証実験を行い世界で初めてAI制御の化学プラントに強化学習型AIを適用しました。これまで手動制御でなければ不可能であったバルブなどの工程を制御することに成功した結果、35日間自律運転することができました。

参照:【横河電機/JSR】世界初 AIによる自律制御で化学プラントを35日間連続制御

AI需要予測:株式会社不二家

ケーキメーカーの不二家はデジタル技術を活用した「商品需要予測システム」の開発を行っています。過去の販売実績やキャンペーン情報、商品規格情報、売価などの相関性をディープラーニング技術で分析し効率化を図っています。従来は、担当者の長年の経験をもとに、原材料の調達や物流、出荷計画などを分析して、製品の需要を予測していましたが、消費者の需要を正確に予測することは困難でした。そこで基準値はデジタルが出して、意思決定のコアな部分は人間の強みを生かすハイブリッドで新しい需要予測の仕組みをつくり上げています。

参照:ケーキの不二家「AI需要予測」を本格導入。「マロンモンブランはありません」とはもう言わせない | Business Insider Japan

AIによる生産最適化:ロート製薬株式会社

ロート製薬の新工場(三重県伊賀市)は工場運営の最適化を図るため、九州大学と共同で、センサーなどを使って人工知能(AI)が工場の稼働状況を監視するサイバーフィジカルシステム(CPS)を導入し、AIが常に工場の稼働を最適化するモデル工場として稼働しています。

参照:ロート製薬、三重県伊賀市の新工場稼働 AIで生産最適化

AIを活用した「着雪量予測モデル」:西日本旅客鉄道株式会社

JR西日本は北陸新幹線でAIを活用した「着雪量予測モデル」の本格的な運用を開始しました。このモデルは、除雪作業を発動すべきタイミングを予測し、不要な作業を防止可能です。それにより人件費の削減と新幹線の安定運行が実現する仕組みが高精度化されています。

参考:JR西日本が北陸新幹線でAIを活用した「着雪量予測モデル」の本運用を開始 雪落とし作業の実施発動を高精度化 | DIGITALIST

自動化から自律化へのシフトに向けて

本記事では、DXにおける「自動化」と「自律化」に焦点をあてて、それぞれの特徴を踏まえながら主な違いや必要性について解説してきました。

自律化は日本だけでなく、世界においても注目されている技術であり、近い将来、製造業の自律化が当たり前となるかもしれません。自動化の先の自律化へのシフトにより、より一層人々の暮らしを豊かにできるような発展に期待が高まります。

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