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抜き取り検査とは?分類やメリット・デメリットと、不良品の流出を抑制する方法

抜き取り検査とは?分類やメリット・デメリットと、不良品の流出を抑制する方法

製品の品質管理には多大な労力とコストを要しますが、効率的に実現できる方法として抜き取り検査があげられます。本記事では、抜き取り検査の分類やメリット・デメリットを通じ、品質管理とコスト削減を両立するポイントについて解説します。

製品の品質を正しく管理し、不良品の出荷を防ぐには製品の入念な検査が必要です。しかし検査はただ「徹底すれば良い」わけではなく、検査の徹底により得られるメリットが実施の労力とコストに見合うかも判断することとなります。

不良品の流出が絶対に許されない場合は、全ての製品を漏れなく検査しなければなりません。その場合は検査員のスキルアップに加え、AIを搭載した画像検査などデジタル技術の活用により精度の向上と効率化の両立を図るべきでしょう。

関連記事:画像検査とは?仕組みや種類、AI活用などの基本を徹底解説!

一方で多少の不良品の混入より、製造コストや価格の抑制が優先される場合も少なくありません。このような場合に検査を効率化しつつ、一定の検査精度を維持する代表的な方法としてあげられるのが、一部の製品のみに検査を実施する抜き取り検査です。そこで本記事では、抜き取り検査の基本知識や実施のメリット・デメリットを通じて、検査の実施後もなお残る「不良品の流出リスク」を抑えるポイントをご紹介します。

関連記事:品質検査とは?品質管理や品質保証との違い、効率化の方法について

抜き取り検査とは

抜き取り検査とは、製品ロットの中から一定の個数を抽出した「サンプル」のみを検査し、ロット全体の出荷可否を判断する方法です。製品ロットとは同一条件で製造される製品の製造数量や出荷数量の最小単位を表す言葉で、製品の性質や単価、大きさなどにより企業独自で設定されています。

出荷した製品に不具合や異物の混入があれば、出荷先、あるいは最終的な消費者とのトラブルが懸念されます。このようなリスクを未然に防ぐには、あらかじめ決められた水準や検査方法によって品質を管理することが重要です。

しかし製造物のすべてを検査対象とすると、膨大な労力がかかる場合もあります。たとえば、数万個を超える大量生産のボルトやネジを全て目視でチェックするのは、作業負担が大きく現実的ではありません。

抜き取り検査では、統計的な視点から「一定の個数が合格なら、ロット全体も合格とみなして問題ない基準」を見極めます。これにより、製品すべてをチェックしなくても一定水準の品質が保証されるのです。

全数検査との違い

抜き取り検査と対照的な検査方法に「全数検査」という手法が存在します。全数検査とは、製造品すべてに対して検査を行う方法です。サンプルを用いてロット全体の合否を判断する抜き取り検査に比べ、全数検査では製品全てを検査することから精度が高い一方、要する労力やコストもより大きいといった特徴があります。

前述した通り、全数検査は大量生産品には不向きです。一方で医療機器や車の安全装備など不具合が人命に直結するような製品や部品は、抜き取り検査における「検査対象ではない製品」に不良があった場合のリスクが極めて大きく、全数検査が適しています。

このように両者には向き不向きがあり、製品の数量や性質、実施する検査方法によっても異なります。抜き取り検査/全数検査それぞれが必須となるケースや、推奨されるケースをまとめると以下の通りです。

抜き取り検査が必須のケース①破壊試験が必要で、検査対象の製品が出荷不能となる場合 ②連続体や液体など、サンプルを抽出しないと正しい検査とならない場合
抜き取り検査が推奨されるケース①不良品の混入がある程度許容される場合 ②検査項目が多く、全製品に全ての項目を検査するのが難しい場合 ③検査コストの抑制を優先する場合
全数検査が必須のケース①不良品の混入が一切許されない場合 ②製品の不良が直接・間接的に人命にかかわる場合
全数検査が推奨されるケース①数量が少ない、製品の形状がシンプルなど、製造ライン上で簡単に検査できる場合 ②製品の単価が高いなど、品質管理の費用対効果が高い場合

関連記事:全数検査とは?適しているケースやメリットを製造業の事例とあわせて紹介

抜き取り検査の分類

抜き取り検査は製品の性質やサンプリングの形式で検査方法が分類されます。検査項目による分類は、主に「計数値抜取検査」と「計量値抜取検査」の2つで、両者の特徴として以下があげられます。

分類検査方法検査対象
計数値抜取検査サンプルから不良品の数を集計して、一定数を超えるとロット全体を不合格にする数として数えられる製品や指標
計量値抜取検査製品の特性から平均値や標準偏差を計算し、サンプルが一定の範囲に収まるかで合否を判断する温度・長さ・時間など数値を測定する製品や指標

計数値抜取検査はネジやボルトなど、構造がシンプルかつ数として数えられる製品に用いられます。計量値抜取検査は、電気チューブや飲料水など、数として数えられない製品で使われる方法です。

また、サンプリングや合格水準の設定方法にもいくつか種類があります。ここからは、サンプリング形式別の検査方法を4つ解説します。

1.規準型抜き取り検査

規準型抜き取り検査とは、定められた品質基準にもとづいて検査する方法です。抜き取り検査の方法の中で最もスタンダードな方法と言えるでしょう。合格ラインは、生産者側と購入者側のニーズを叶えられるよう、両者の不良率と不合格率の許容範囲が定められます。

生産者側は、許容できる「不良率の上限」と「ロットが誤って不合格にされる確率を設定」し、消費者側は許容できない「不良率の上限(合格ライン)」と「不合格のロットが合格扱いされる確率」を設定します。

2.調整型抜き取り検査

調整型抜き取り検査とは、検査結果を反映して検査基準の厳しさを調整し続ける方法です。検査基準は「なみ・きつい・ゆるい」の3タイプに分け、検査結果に応じて次回の検査方法を変更します。それぞれの特徴は以下の通りです。

なみ検査一定の品質が維持されている場合に用いられる方法。標準はこちらを用いる
きつい検査過去の検査結果で品質に問題が発生した、あるいは品質管理上のリスクが高いと判断された場合に用いる。検査基準が厳しくなり、サンプリングの量も多いため、不良品の発見率が上がる。
ゆるい検査過去の検査結果で高い品質が維持され、なみ検査で不良ロットが出ない場合に用いられる。サンプリングの量を減らすため検査コストと所要時間を節約できる。

調整型抜き取り検査の利点は、検査結果に応じて柔軟な対応ができるところです。検査基準を厳しくすれば不良品の防止に貢献できますが、検査基準をゆるくすれば、維持コストや労力の節約につながるでしょう。

3.選別型抜き取り検査

選別型抜き取り検査とは、抜き取り検査の実施で不合格となったロットを全数検査する方法です。基準をクリアしたロットはそのまま出荷し、不合格のロットは全数検査に切り替えて不良品を選別します。

選別型抜き取り検査は、不合格のロットの中にある製品を個別で救済するための方法です。すべての製品を全数検査にするとコストと労力がかかりますが、選別型抜き取り検査なら必要最低限の工数でロスの少ない検査ができます。

これにより、廃棄によるロスの削減や、不良品混入の防止が期待できるでしょう。

4.連続生産型抜き取り検査

連続生産型抜き取りとは、個別生産ではなく連続生産される製品に適用する検査方法です。たとえば電気ケーブルや液体が該当します。この場合、ロット単位ではなく製品を一定間隔で抜き取って検査します。

連続体は製品が一続きで生産ラインを通るため、一定間隔でサンプリングを採取することで製造上の不具合を事前に検知可能です。製品の品質管理はもちろんですが、機械の不具合を放置したまま生産を続け、製品すべてが不良品になる…といった重大な過失の防止やロスの削減も期待できます。

抜き取り検査を実施する3つのメリット

抜き取りは統計的な見知から効率的に製品を検査できる方法です。ここからは、抜き取り検査の実施が製造現場にもたらすメリットを3つご紹介します。

検査時間が短いためスムーズに行程を進められる

抜き取り検査は、検査の所要時間が短いメリットがあります。「不良品がこれだけ出たらロット不合格にする」といった統計にもとづいて検査を行うため、少ないサンプルで高精度の検査が可能です。

検査時間を大幅に短縮でき、生産効率の向上やプロセスの最適化が期待できます。

作業者の負荷を軽減でき従業員満足度向上につながる

検査員や作業者の業務負担は一定個数のサンプルの検査を実施するだけで良いため、作業効率の向上や労働環境の改善につながります。

1日に数百個の精密機械を目視で検査するのは大変な労力が必要で、精神的・肉体的な負担が計り知れません。しかし抜き取り検査なら数百個のうち一定数だけをチェックするため、かかる労力が大幅に減少します。

全数検査では難しい破壊試験ができる

サンプルを使う抜き取り検査は、すべての製品をチェックする全数検査でできない「破壊検査」を実施可能です。

破壊検査は商品の破壊や切断を行う検査で、耐久性や内部の欠陥の調査を主な目的としますが、食品容器のフタの粘着力を確かめるために、フタを剥がすといった検査も破壊検査に含まれます。

しかし、破壊検査に用いたサンプルは当然出荷できません。したがって抜き取り検査により破壊する製品の数は最小限に抑えることが必要となります。

抜き取り検査を実施する2つのデメリット

抜き取り検査のデメリットは、「不良品混入のリスク」と「統計の知識が必要」の主に2点です。

不良品流出のリスクがある

抜き取り検査はサンプルの状態でロットの品質を判断しますが、実際にすべての製品をチェックするわけではないため、検査対象以外の製品に不良品が含まれるリスクをゼロにはできません。

したがって不良率0%を目指す検査方法ではなく、生産コストの抑制と、不良率の抑制を最大限両立するための検査方法だと認識しておきましょう。

抜き取り数や検査に対する知識が必要

抜き取り検査の精度維持には、適切なサンプリング方法や検査を選択できる統計の知識が必要です。検査するサンプル数を増やす、合格水準を高く設定するなど検査基準を厳しくすれば当然精度は上がりますが、その分検査員の労力は増え、良品にもかかわらず出荷できないロスの量も増加します。

これらの最適なバランスを取るためには、不良品の許容量と検査の工数を統計にもとづいて計算しなければなりません。サンプル数と品質の基準を定める際は、以下の方法があげられます。

AQL指標型合格の品質上限を定める。基準値を下回らない限り製品は合格する可能性が高い。
LQ指標型製品を不合格にする品質の限界を基準値にする方法。最低限の品質が保証されることを意味する。
スキップロット型一定のロットが基準値を上回る場合、連続するロットを無検査で合格にする方法。

抜き取り検査では効率化と不良品のリスクのバランスを

抜き取り検査は全数検査に比べ、検査にかかる労力やコストを抑えながら実施できる方法です。少ない工数で一定水準の検査を実現できるため、高い費用対効果が見込めますが、ロット単位で出荷を判断するため一定数の不良品混入は避けられません。したがって、1つの不良品も許されない製品において抜き取り検査は不向きです。

破壊検査など一部の検査方法を除いて、コストや検査員の負担を抑えつつ全数検査が実施できれば、より品質管理を徹底できるのは間違いありません。コストパフォーマンスを試算したうえで新たに検査機器や検査システムを導入し、抜き取り検査を全数検査に切り替えることも検討の余地があります。

この機会に製造工程や検査方法を見直してみてはいかがでしょうか。

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