酒造業のための原価の考え方と原価計算

 2019.06.10  株式会社アウトソーシングテクノロジー

商品を作るためにかかる原価、商品を売るためにかかる原価、酒造業ならびに製造業では「原価計算」が非常に重要な役割を担っています。自社の原価を理解することで利益の確保、そして将来への投資の道筋ができます。

本稿では「原価計算」は、いかに酒造会社・製造会社にとって欠かせない業務なのかを基礎からご紹介します。

costing-for-brewing-industry

原価低減は企業にどのような影響を与えるのか

皆様は自社の原価について詳細を把握しておりますでしょうか?

「だいたいの原価は把握しているよ」「原価計算はやっていないけれど、黒字だから大丈夫」「あまり大きな声では言えないけど うちはドンブリなんだよね」という方も多いのではないでしょうか?

すべての企業は利益を確保することを目的として事業を運営しています。事業は、お金が入ってくる「売上・収入」があって、お金が出ていく「原価・コスト・支出」があります。そのため利益を確保するために行うべきは「売上拡大」と「コスト(原価)の適正化」に他なりません。この両輪を追求することで競争力の高い経営を実践することができます。

一般的に売上拡大は効果が高いものの、時間がかかるというデメリットがあります。その一方でコスト削減は即効性が高いという特徴があります。

多くの企業は原材料費や人件費の高騰など原価を圧迫する逆境に立たされながらコスト削減に取り組んできました。このコスト削減のための解決策としてシステムの導入が有効であり現代社会においては必要不可欠です。たとえシステム導入による原価軽減率はわずかであっても、売上高伸長戦略よりも即効性があり効果的な場合がほとんどです。そこで得た利益を企業成長の糧とするためにも原価を正確に把握することが第一歩ということになるのです。

そもそも「原価計算」とは?

まず、「原価」とは商品1個を作る・売るのにかかる費用のことです。たとえば清酒製造会社では、商品1個を作るのに以下のような費用がかかっています。

 

1. 材料費

米、水、麹(こうじ)など

2. 設備費

自動精米浸漬装置、パストライザーウォーマー、窒素充填機、倉庫など

3. 人件費

杜氏、蔵人、営業、一般従業員、販売員など

4. 諸経費

商品の輸送など

 

このように、商品を1個作るだけでもこれだけの費用がかかっています。さまざまな費用を合計し、商品1個を作るのにかかって費用を算出したものが「原価」です。つまり「原価計算」とは単純に、この「原価」を計算し求めるための業務です。

酒造業のための経営指針ガイド
三酒の神器 パンフレット

「原価計算」はなぜ重要なの?

まだ「原価計算の重要性が分からない」という読者もいらっしゃるかと思います。確かに、現状として「原価計算」を実施せずに経営活動を続けているのならば、なぜ重要なのかは分かりづらいものです。

ではここで、「原価計算」を実施することの重要性について確認していきましょう。

正確な予算計画のために

年間の予算計画を立てるにあたり、酒造会社でもさまざまな指標をもとにしています。予算計画の目的は、生産量に対して少しでも高い利益を生むためのものです。予算の無駄を省き、計画通りに資金繰りを行っていくことで初めて最大限の利益を引き出すことができます。

しかしその予算計画に原価情報が盛り込まれていなければ、必ず予算の無駄が発生します。予算計画の根拠となる資料として原価情報を使用し、販売計画、利益計画を立てるためにも欠かせません。

 

経営戦略策定のために

近代ビジネスではあらゆる情報を分析し、その結果をもとに経営戦略を策定していくことが大切だと考えられています。消費者や顧客企業のニーズが複雑になり、購買行動が以前と変化したことでより正確な経営戦略が求められているのです。

この時もしも、すべての商品の原価情報を明確にできていれば、これから力を入れるべき商品や、販売縮小が望ましい商品について把握できます。つまり「儲かる商品」と「儲からない商品」を把握でき、経営戦略策定を大きく助けるでしょう。

 

財務諸表作成のために

財務諸表では「損益計算書(P/L)」や「賃借対照表(B/S)」の作成と、製造原価証明書の作成が必須になります。そのため、「原価計算」を徹底していないと正しい財務諸表が作成できず、税務署からマークされたり、顧客からの信用を失ったりすることもあります。

 

正しい価格決定のために

正しい販売価格とは、「原価」に会社が望む利益を上乗せした価格です。しかし原価情報を把握していないまま適当に価格と決めてしまうと、商品がいくら売れても利益を最大化することはできません。あるいは、商品適正価格から大きく外れてしまうことで、商品が売れないという事態が起きます。

 

コスト削減のために

「原価計算」を実施していると、数ある原価項目の中で無駄を発見することができます。たとえばまったく同じ品質の原材料を提供していて、かつ今よりも低価格で提供しているサプライヤーの存在に気付くなど、「原価」にはたくさんの無駄が隠れているものです。

標準原価と実際原価を算出して、その差異を分析することで「原価」の無駄を把握し、コスト削減に取り組むことができます。

 

標準原価と実際原価とは?

標準原価とは、標準使用量・標準購入単価・標準時間・標準賃率などを用いて算出する「原価」です。標準値を知るためのものであり、標準原価は「原価」が常に一定であるため管理しやすいのが特徴です。ただし、標準原価ばかりを指標にしていると、期末時に予算との差異が生じるので注意が必要です。

一方、実際原価とは、生産実績・購入実績・時間実績・実際労働費・経費などを用いて算出する「原価」です。常に実績値で求めるため、標準原価よりも精度の高い原価情報を導き出すことができます。ただし、生産量や稼働率が変わると「原価」も変動するため、実際原価の計算は標準原価よりも複雑です。

いかがでしょうか?このように、「原価計算」を実施することの重要性は非常に大きく、実施している酒造会社と実施していない酒造会社とでは、予算計画・管理や資金繰り、原価率や純利益率などで大きな違いが生じます。当然、原価計算を実施している酒造会社の方が利益を創出しやすいのは言うまでもありません。

酒造会社が「原価計算」を実施するには?

参考までに、日本では清酒製造を行っている酒蔵が1,500場所以上あります。ただしその中で、徹底した「原価計算」に取り組んでいる企業は意外と少ないことでしょう。その理由が「酒造における原価計算は難しい」というシンプルかつ深刻な問題です。

酒造は、一般的な食品製造に比べても複雑な工程があり、米・水・麹という3つの原材料しか使用していない場合でも「原価計算」が複雑になります。これを、Excelで管理したり人手でカバーするには無理があり、「原価計算」がどんぶり勘定になってしまっている酒蔵が多い傾向にあります。

そこで、現代の酒蔵に求められているのが「システム化された原価計算」です。つまり、原価計算のためのIT活用を実践して、システム上で「原価計算」が行える環境を整えるのです。

たとえばERP(Enterprise Resource Planning)というIT製品は、確実な「原価計算」を実践するために、蔵内管理システム・販売管理システム・購買管理システムなどを1つに統合して、各システムから発生して情報を自動的に収集・計算し、正確な「原価」を導き出すことに貢献します。従って、工程ごとに発生した情報をシステムに入力するだけで、自動的に「原価計算」が行われるのです。

弊社アウトソーシングテクノロジーが提供する酒造業向けソフトウェア「三酒の神器(さんしゅのじんぎ)」は、有名酒造メーカーへ多数の導入実績があるERPパッケージ(酒造業向け統合パッケージ)です。酒造業特有の 販売/蔵内/購買/原価 の管理をIT化し、これまで管理・分析が難しかった酒造業の経営をサポートします。

酒造会社として、利益の効率的な確保を実現するためにも「原価計算」と「原価計算のシステム化」をぜひご検討ください。

三酒の神器 パンフレット

RECENT POST「酒造業とIT」の最新記事


酒造業のための原価の考え方と原価計算
" ); }); } }); var prev = 0; var $social_nav = $('.social-blog').first(); $(window).on('scroll', function() { var scrollTop = $(window).scrollTop(); if($(window).width() ($(document).height() - 67)) { $social_nav.addClass('hide-bt'); } else { $social_nav.toggleClass('hide-bt', scrollTop
'; if(tableOfContentsShowTop) { $('#hs_cos_wrapper_post_body').prepend(res); } else { if($('.Blog-Detail .blog-section .post-body h2').first().prev().length > 0) { $('.Blog-Detail .blog-section .post-body h2').first().prev().after(res); } else { $('#hs_cos_wrapper_post_body').prepend(res); } } bindAnchorLinkClickEvent(); } }); function bindAnchorLinkClickEvent() { $('#toc-box a[href^="#"]').on('click', e => { let target = e.target.hash.slice(1) let headerOffset = -80 let $ele = $(`#${target}`) if($ele.length) { e.preventDefault() let offset = $ele.offset().top + headerOffset - 40 $('html, body').animate({ scrollTop: `${offset}px` }, 400) if(target.slice(0, 6) != 'block-' && 'pushState' in history) { history.pushState({}, '', e.target.href) } } }) }