成長する酒造業者は多角化を推進、海外展開だけではない具体的な展開を事例で紹介

 2019.08.27  株式会社アウトソーシングテクノロジー

日本人の酒離れや人口減少などの煽りを受けて、国内においては酒造業界が苦戦を強いられていることはよく知られています。また、日本の伝統酒である日本酒(清酒)や焼酎が世界的に高い評価を受けていることも、多くの方が知っていることでしょう。

いち早く世界のマーケットに進出し、グローバル展開に成功している酒造業者は高い利益を確保していますが、それ以外の方法を活用して利益を確保している酒造業者が存在することも事実です。その一つの方法が酒造業者の多角化です。多角化は、酒造りだけではなく主力と成り得る新しい事業を立ち上げることで、経営のさらなる成長を目指すことです。

本稿では、そんな酒造業の多角化について具体的な展開事例を交えてご紹介します。

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酒造業多角化の人気No.1は“コスメ事業”

昔から「日本酒は飲むと肌に良い」とされてきました。実は単なる迷信ではなく、科学的にも証明されています。その根拠となっている有効成分がアミノ酸、フルーツ酸、そしてフェルラ酸です。

アミノ酸は人体を構成しているたんぱく質の主成分であり、水溶性で分子が小さいため、肌の奥まで浸透しやすい効果があります。フルーツ酸には古い角質を取り除いたり毛穴に溜まった汚れを取り除いたりする効果があり、フェルラ酸には肌細胞の活性化(アンチエイジング)を促進する効果があります。これらの有効成分から美肌、美白、老化予防、アトピー改善などさまざまな効能があるとされているのです。

まだ、科学的根拠がなく化粧水等が存在しなかった時代においては、日本酒を肌に塗ることで保湿していたという記録もあります。日本酒をそのまま肌に塗るとアルコール分が高いため刺激が強いものの、精製水などで薄めるとそれだけで化粧水として使用できるほど有効成分が多く、肌に優しいのが日本酒なのです。

原料に米と水しか使っていないのですから、当然といえば当然なのかもしれません。

各酒造業者の日本酒コスメ

このことにいち早く着目した大手酒造業者では、“日本酒コスメ”としてさまざまな商品ラインアップを揃えています。ここでは一例をご紹介します。

黄桜酒造 / 京美水エイジケア

清酒チオレドキシンが配合され、肌への保湿成分を高めた化粧水。

http://kizakura.co.jp/ja/kyoubisui/

 

玉川酒造 / ゆきくら美白水

天然成分だけを使い、アトピー肌や敏感肌に使える化粧水。この他、透明石鹸など日本酒を使った石鹸やクリームを販売しています。

http://www.yukikura.com/yukikurakesyouhin/bihaku.html

 

浅間酒造 / ひげんコスメ

化粧水、美容液、石鹸、メイク落とし、クリームなど多品種な商品ラインナップを展開。

http://www.higencosme.jp/

 

大関 / R₂O

玄米発酵エキスを配合し、玄米に含まれるビタミン・ミネラルを発酵することで作られたバランス良好のアミノ酸が特徴。

https://www.ozeki.co.jp/product/keshohin/r2o.html

 

田嶋酒造 / 大吟醸酒粕石鹸

大吟醸酒(米発酵液)をその酒粕たっぷりと配合した化粧品で、肌への浸透性を高めている。

https://shop.fukuchitose.com/?pid=17593845

 

日本盛 / 米ぬか美人

独自の研究により発見されたつや肌酵母入りの、肌によくなじむ化粧水。

http://shop.nihonsakari.co.jp/shop/

 

白瀧酒造 / 上善如水 ミニュイ クリアスキンシリーズ

天然アミノ酸を豊富に含み高い保湿力を実現している。

https://www.jozenskincare.com/minuit.asp

 

白鶴酒造 / ドラマティックリペア

酒粕生まれの化粧品。他にも純米酒を使用した米の恵みなどを展開。

http://www.rice-beauty.com/dramaticrepair/

 

富士正酒造 / 蔵ら(クララ)

仕込み水である富士山の湧き水と純米酒が配合されている。

https://www.fujimasa-sake.com/products/list.php?category_id=8

 

酒造業のための経営指針ガイド
三酒の神器 パンフレット

酒を使用したスイーツによる多角化

上記のように、酒造業者の中でコスメ事業を展開することは今や当たり前になっています。特別に手を加えなくても、日本酒そのものに美容への有効成分が含まれているため、比較的容易に化粧水等を独自に展開することが可能になります。

もう1つ、酒造業者の中で推進されている多角化が、酒を使ったスイーツの製造・販売です。例えば、大手酒造業者の中でも多くのスイーツ商品をそろえているのが福光屋です。以下のような、酒蔵ならではのスイーツ商品を販売しています。

  • 甘酒キャラメル

香り豊かな純米酒粕を練りこみ、やさしい甘味に仕上げた甘酒風味のソフトキャンディ。

  • 酒かすていら

きめ細かくしっとりと焼き上げた生地を、風味豊かな純米酒をブレンドしたシロップに浸したカステラ。

  • 酒蔵こぼれ梅グラノーラ

みりん粕「こぼれ梅」を、有機栽培オーツ麦やナッツ、ドライフルーツと一緒に香ばしく焼き上げたグラノーラ。

  • 酒蔵の酒かすグラノーラ

福光屋の純米酒粕の甘やかな醗酵の香りに、ココナッツやスパイスを合わせた新感覚のグラノーラ。

  • 酒蔵の酒粕グラノーラクランチ

福光屋の純米吟醸酒粕を、有機オーツ麦や国産大豆、くるみなどと一緒にぎゅっと固めて香ばしく焼き上げたクランチ。

  • 酒かす煎餅醤油

福光屋の酒粕を隠し味に、香ばしく焼き上げた醤油煎餅。

  • 純米酒粕使用 酒蔵の黒糖生姜湯

身体を温める3つの素材、酒粕・黒糖・生姜を独自にブレンド

  • 焙煎 黒玄米茶

契約栽培米の玄米を10時間じっくり焙煎。ポリフェノールを豊富に含んだ、深みのある味わいの黒い玄米茶

  • 果実のみりん羊羹 酒蔵の福よせ

福光屋の「三年熟成 純米本味醂 福みりん」を加えて炊いた餡に、無花果・杏・干し葡萄・ピスタチオをたっぷり詰め込んだ羊羹。

参考ページ:福光屋酒蔵のスイーツ(https://www.fukumitsuya.co.jp/foods/sweets/

酒を使ったスイーツの販売・製造は真新しいものではありませんが、最近では多くの酒造業者が独自のスイーツを開発しており、酒離れが進む世代の中でも注目を集めています。若年層で飲酒習慣が少なくなっているのならば、酒を使った新しい商品でアプローチするというのも、1つの有効的な戦略です。

 

酒を主体に事業多角化を目指してみよう!

日本の伝統的な酒は、そのまま飲酒するのではなく、さまざまな使い方によって美容効果をもたらしたり、別の方法で美味しく食したりと無限の可能性を秘めています。将来的には日本酒コスメが世界的にブームになるかもしれませんし、酒スイーツも同様です。この機会に、酒を主体として事業多角化を目指してみてはいかがでしょうか?

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