酒造業向けERPにおける業界特有機能について

 2019.07.08  株式会社アウトソーシングテクノロジー

ERP(Enterprise Resource Planning)とは、経営活動に欠かせない基幹系システムを1つに統合し、「人」「物」「金」という経営資源の情報を集約管理することで、経営状況を瞬時に可視化したり、各基幹系システム同士でデータのやり取りをスムーズに行ったりするためのパッケージソフトウェア製品です。

10年ほど前まで、ERPは「大企業が導入するもの」というイメージがありました。その理由は、高額なソフトウェアライセンスや導入初期費用、負担の大きな保守運用業務です。多くのERPは標準機能で業務要件を満たすことができず、アドオン開発やカスタマイズが増えることで開発費が高額となります。さらに、業務に合わせるためにアドオン開発が多くなるとERPベンダー独自のサポートでは対応しきれない部分も多くなり、必然的に導入企業の保守運用負担が大きくなってしまいます。

これが2010年頃から状況が変わり、限りなく標準要件だけで業務要件を満たせるERPが登場し始め、ERPの導入初期費用やアドオン開発費が徐々に低減し、それに伴って保守運用業務の負担も軽くなっていきます。また、「業務側をERPに合わせる」という戦略に抵抗感を持たない企業が多くなったことも、ERP導入が拡大した理由の1つと言えます。

このEPRの波は今、酒造業界にも押し寄せています。月桂冠や菊正宗といった大手酒造会社はもちろん、地産地消ビジネスを展開してきた酒造会社でも、ERPよる経営資源情報の集約管理や、統制され効率性を求めた業務プロセスの整備といったニーズが増大し、ERP導入に取り組んでいる現状があります。

本稿を読まれているということは、酒造会社にてERPの導入を検討していたり、何らかのシステム導入を検討しているのではないかと思います。本稿では、そうした方に向けて酒造業におけるERP導入の選定ポイントをご紹介します。

erp-feature-for-brewing-industry

標準的に備わっておいて欲しいERPの機能とは?

ERPにはさまざまな種類があります。汎用的かつカスタマイズ性を備え、複数の業界業種にフィットする統合基幹システム環境が構築できるERP。特定の業界業種に特化し、業界特有の要件を高いレベルで満たせるERPなどです。まずは、いずれのERPを導入するにせよ、標準的に備わっておいて欲しい機能について確認していきましょう。

生産管理

ものづくり企業において、ERPの生産管理機能は欠かせません。ERPとして標準的に備わっておくべき機能ですが、製品によっては利用できない場合もあります。

販売管理

「何を」「いつ」「どこに」「どれくらい」「いくらで」売ったのかという販売情報をExcelで管理するのは、手間がかかること以上に販売データを分析できないことの方が大きなデメリットです。そのため、販売管理機能はどんなERPにも備わっておくべき機能だと言えます。

購買管理

原材料の仕入れをシステムで管理することは、原価削減につながります。仕入れごとに価格情報を管理したり、原材料の流れを管理したり、仕入れにかかわる物とお金の情報を管理することができます。

在庫管理

在庫の適正化はすべてのものづくり企業にとって大切な経営活動の1つです。そのため、ERPで在庫管理を徹底できることで、在庫の流れを管理して適正在庫を保つことができます。

原価管理

正確な製造原価等を知ることは簡単ではありませんが、原価コントロールが上手くいけば期待通りの利益を得ることができ、正確な資金計画等を立てることができます。

 

これらの機能は、どのERP製品を導入しても、必ず押さえておきたいポイントになります。

ERPに備わっておくべき酒造業特有の機能とは?

では、酒造会社がERPを導入するにあたり、ERPに備わっておくべき機能とは何でしょうか?酒造業特有の業務プロセスから、欠かせない機能についてご紹介します。

1. 蔵内管理

ERPにおける蔵内管理機能とは、酒造業界特有に製造方法に対応した管理機能です。酒造りのプロセス管理を行ったり、容器受払管理があったり、酒造会社によっても酒造りのプロセスは違うため、改めてプロセスを明確にする必要があります。

2. 酒税対応

酒には酒税がかかるため、酒造業界のERPではこの酒税に対応した機能が絶対的に必要です。

3. 小売管理

小売部門がある酒造会社の場合は、小売管理を実施することでPOSレジと連携して、販売データを分析することでより効率的に商品を販売していくことができます。

4. 酒造単位対応

酒造業では「石(ごく)」や「合(ごう)」アルコール度数など業界特有の単位を用いることで管理しています。そのため、各機能においてこうした酒造単位に対応した機能が必要です。

5. 空容器管理

空容器管理も酒造業界特有の管理機能なので、ERPの要件として盛り込まれている必要があります

6. シミュレーション

詰口予定、発注予定から原材料等の過不足についてシミュレーションが可能であり、適正な在庫管理を徹底できます。

 

酒造業のための経営指針ガイド
三酒の神器 パンフレット

酒造会社がERPを選定するポイント

上記のように、酒造業界特有の業務要件に対応していることが、ERPを導入する際の大前提になります。では、酒造会社がERPを導入する場合、どういった点に気を付けて選定すればよいのでしょか?中小酒造会社がERPを導入するケースを想定して、そのポイントをご紹介します。

ポイント1. 業界特化型のERPを選ぶ

いわゆる「業界特化型ERP」を選択するメリットは、予め業界特有の業務要件に対応していることから、アドオン開発不要で活用できる点です。汎用的なERPでは必ずカスタマイズ要件が発生するため、その分コストがかさんだり、導入後の運用保守が複雑になったりする可能性があります。そのため、酒造会社がERPを選ぶ際は業界特化型ERPを選定するのが大切ポイントになります。ただし、業界特化型ERPでもカスタマイズ要件が発生する可能性がありますので、酒造プロセス等について改めて整理し、自社要件を可能な限り満たすERPを選びましょう。

ポイント2. シンプルにまとまった設計

ERPは基本的に多機能ですし、さまざまな基幹システムが統合されているため、製品によってはオーバースペックになってしまう可能性が高まります。そのため、自社要件を十分に満たしたうえで、シンプルにまとまった設計のERP製品を選ぶことが大切です。

ポイント3. ERPベンダーのサポート体制

初めてERP導入に取り組む酒造会社にとっては、初めてのことばかりで戸惑ったり、問題になることも多いでしょう。その際に重要なのがERPベンダーのサポート体制です。ERPベンダーのサポート体制を十分確認した上で、安心安全にERPを活用できる製品選びが大切です。

酒造会社にもERPを!

近年では、酒造会社に特化したERPが登場しています。国内では厳しい戦いを強いられている酒造会社も、海外市場では日本産酒類の人気が高まっており、海外での機運が年々上昇しています。海外のビッグマーケット相手にビジネスを展開するためにも、ERPは欠かせないシステムになるでしょう。

酒造会社においてシステムの導入を検討する際には酒造業向けソフトウェア「三酒の神器」をご検討ください。「三酒の神器」は、有名酒造メーカーへ多数の導入実績がある、カスタマイズ型のパッケージシステムで、酒造業特有の 販売/蔵内/購買/原価 の管理をIT化し、これまで管理・分析が難しかった酒造業の強い味方となるでしょう。

ERPというと少々大げさに聞こえるかもしれませんが各モジュールごとの導入で小さく始めることも可能ですし、補助金(参考記事:酒造業が資金調達を成功に導くポイントとその方法を解説(公的補助金の活用 他))などの利用も可能であることから、今がチャンスでもあり、気軽に始められることをご理解いただければ幸いです。

三酒の神器 パンフレット

RECENT POST「酒造業とIT」の最新記事


酒造業向けERPにおける業界特有機能について