最新の食品衛生法について理解していますか?酒類製造業の従事者が知っておきたいポイントをわかりやすく解説

 2019.11.20  株式会社アウトソーシングテクノロジー

企業において法令遵守は事業継続のために必要不可欠です。そして、酒造業に従事するものとして食品衛生法は必ず遵守しなければならない法律です。しかし、酒造業者の経営者や従業員の中には、大まかには知っているけれども最新の法改正までは知らない、などという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

本稿では2018年6月に改正された食品衛生法について酒類製造業の従事者が知っておきたい内容を分かりやすく解説いたします。

haccp

食品衛生法とは?

食品衛生法は、食品汚染や腐敗、食中毒といった食品や飲料にかかわる事故を防止し、安全性を確保するために1947年に制定されました。同法律では、食品および飲料の安全性確保のために、必要な規制や措置を講じることが定められています。酒造業のみならず食に関する製造販売を行なっている企業にとって、この食品衛生法を遵守することは必要不可欠と言えます。

前述した通り、この法律は食品および飲料に起因する衛生上の危害発生を防止するためのものです。しかし、その名称から人の口に入るもののみの法律と考えてしまいがちですが、それだけではありません。食品衛生法は、食品・飲料だけでなく、広く食品に関係のある添加物、器具、容器、包装などもその対象としています。酒類も食品の1つであり、使用できる添加物の種類、その表示方法などは食品衛生法に従うことになります。

なぜ食品衛生法が改正されたのか?

食品衛生法は、1947年の制定以降2003年に抜本的な改正が行われ、その後、2018年6月には実に15年ぶりの大幅な改正が行われました。詳しいことは後述しますが、HACCP(ハサップ)の制度化や食品リコールの報告義務化、健康食品の規制強化など大幅な見直しが行われています。

それでは、なぜ食品衛生法の改正が必要だったのでしょうか?

厚生労働省の食品衛生法懇談会で委員をつとめた一般社団法人FOOCOM(Food Communication Compass)代表の森田満樹氏によると、「食品の安全を取り巻く環境の大きな変化と、国際化に沿う流れ」という背景があると説明しています。

2003年の大改正では当時問題となっていたBSEや中国産冷凍野菜の残留農薬案件などをめぐり、食品の安全性に関するさまざまな諸問題が浮き彫りになったことが背景にあります。この改正により、食品安全の規制を強化して国などの責務を明確化したことで、食品衛生行政への信頼は高まりました。

しかし、その後の15年間で世の中のめまぐるしい変化により、食品の安全に関する新しい問題も発生しています。

具体的には世帯構造の変化や消費者の食に対する意識などが変化し、少子高齢化が進んだことによって働き方が多様化しました。そのため調理済み加工食品や外食、中食へのニーズが社会的に増加しました。また、消費者の健康志向も高まり、健康食品へのニーズも拡大しています。その一方で、食中毒や異物混入、健康食品による健康被害など、食の安全を脅かす問題も発生しており、食に対する安心と安全が一層意識されるようになりました。

この他、食のグローバル化が加速し、輸入食品の種類も増加しています。しかし、国内の食品等事業者の衛生管理の手法や、食品用器具、容器包装の衛生規制の整備など、先進国を中心に取り入れられている国際基準から遅れを取っています。2020年には東京オリンピック・パラリンピックが開催されることで、日本の食品衛生法を国際標準まで高めていくことが大きな課題となっていたのです。

以上のような背景から2018年に同法律は大きな改正がなされたのです。

 

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食品衛生法改正のポイント

それでは、食品衛生法が具体的にどういった改正がされたのか?そのポイントをご紹介します。

① HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理の制度化

<関係する業種>

原則としてすべての食品等事業者

<解説>

HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point:ハサップ)とは、事業者が食中毒菌等の危害要因を把握した上で、原材料の入荷から製品出荷までの全工程において、危害要因を除去低減させるために特に重要な工程を管理し、安全性を確保する衛生管理手法です。先進国を中心に義務化が進められており、日本では2020年6月までに実施され、施行後は1年間の経過措置が取られます。

 

② 特別の注意を必要とする成分等を含む食品による健康被害情報の収集

<関係する業種>

製造者・販売者

<解説>

近年、サプリメント等の健康食品の健康被害相談が増加しています。それを受けて新設された制度であり、これまで健康被害情報の収集は制度化されておらず、被害の発生・拡大の防止面に問題がありました。対象の食品は健康食品のうち、特に注意を必要とするものとして厚生労働大臣が指定する成分等を含有するものです。特定成分を含む商品で健康被害が発生した場合は、行政へ被害情報の届出が義務化されます。

2020年6月までに施行される予定です。

 

③ 国際整合的な食品用器具・容器包装の衛生規制の整備

<関係する業種>

容器等製造事業者、容器等販売事業者、食品製造・販売事業者

<解説>

食品用の器具や容器包装は、禁止された物質でなければどのようなものでも使用できるネガティブリスト制度が適用されていました。そのため、海外で使用禁止された材質であっても直ちに制限をかけることができませんでした。改正によって安全性が担保されたもののみ使用するポジティブリスト制度が導入されます。2020年6月までに施行される予定です。

 

④ 営業許可制度の見直し、営業届出制度の創設

<関係する業種>

今後、政省令改正で営業許可業種の区分や施設基準についての実態に応じた具体的な見直しが行われる。

<解説>

HACCPの制度化に伴い、営業許可の対象業種以外の事業者の所在などを把握するために制定された届出制度です。現在の法令で定められている許可業種は34種あり、それ以外にも自治体ごとに独自に定めた業種があります。また、コンビニエンスストアなど1施設で複数の営業許可申請を行うケースもあり、これらも含めて営業の実態に応じた制度見直しがされます。

 

⑤ 食品リコール情報の報告制度の創設

<関係する業種>

食品関連事業者

<解説>

従来、食品の自主回収の情報公開については法律上の規定がなく、自治体により条例での取り組みはバラバラでした。従って、消費者は食品事故の全容を把握することができませんでした。改正により、今後は食品衛生法に違反または違反したおそれがある食品のリコールに関しては、国のデータベースシステムに事業者がリコール情報を入力して届け出を行うことになります。国が事故情報を一元的に管理し、消費者に情報提供することで健康被害の発生・拡大を防止します。

 

⑥ 広域的な食中毒事案への対策強化

<解説>

こちらは事業者にはあまり関係ありませんが、国は広域的な食中毒事案の発生や拡大の防止等のため、関係自治体と国の連携や協力を強化しています。緊急を要する場合には、厚生労働大臣は、協議会を活用し、広域的な食中毒事案への対応に努めることも決めています。

過去に広域に発生した食中毒への早期探知が遅れ、共通の汚染源の調査や特定が効果的に進まなかったことから、このようなことが無いように、自治体や国との連携が強化されたものとなっています。

⑦ 輸入食品の安全性確保

<関係する業種>

食品の輸出入を行う事業者

<解説>

厚生労働省や消費者庁、農林水産省、食品安全委員会などが一体となり、国民の健康の保護を目的として、国民やある集団が危害にさらされる可能性がある場合、事故の後始末ではなく、可能な範囲で事故を未然に防ぎ、リスクを最小限にするためのプロセスを実現するものです。

輸出国政府との連携のみならず、例えば厚生労働省であれば、食品中の含有量について基準を設定し、基準が守られているかの監視など、消費者庁であれば、食品の表示について基準を設定し表示基準が守られているかの監視などを行なっています。そのような全体的な輸入食品の安全性の確保のために食品衛生法が成り立っています。

輸入については、輸出国において検査や管理が適切に行われた旨を確認するため、HACCPに基づく衛生管理の確認や品目によっては衛生証明書の添付義務が輸入要件化します。

輸出については、食品輸出関係事務の法定化が促進されます。輸出先国の衛生要件を満たすことを示すため、国・自治体における衛生証明書を取得することが求められます。

まとめ

食品衛生法では酒類製造業者が知っておきたい法令がたくさんあります。また、私たちを取り巻く環境の変化に応じて、日々更新されていきます。この機会に、食品衛生法についてぜひ理解を深めていただきたいと思います。

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