酒造業の在庫管理のポイント

 2019.07.29  株式会社アウトソーシングテクノロジー

酒造業の経営のみならず、あらゆる事業者において在庫管理の重要性はすでに周知の事実として知られています。在庫とは会社の資産であり、在庫を消費したり販売したりすることで現金化につながり、それが会社の資金になり、キャッシュフローを回していくことになります。従って、在庫管理は会社の経営状況を向上・維持・改善する上でとても重要な管理項目です。

しかしながら、酒造事業者の中には在庫管理に多くの時間とコストをかけて手作業で行なっているケースもあり経営の悪化を招いています。それでは、酒造業においてはどういったポイントに注意して在庫管理を行っていけばよいのでしょうか?今回は酒造業における在庫に関してご紹介します。

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在庫管理が難しい理由とは?

あなたの会社の在庫管理は完璧ですか?と聞かれ、「我が社は問題なく管理できている」と考える方は多いでしょう。しかし、その多くは問題なく管理できていると思い込んでいるケースが多く、実際のところは在庫管理が徹底されていないという企業が少なくない現状があります。

一般的に在庫管理が難しいと言われる理由についてご紹介します。

2重作業による記録ミスが発生しやすい

一般的な在庫情報というのは、仕入台帳や販売台帳、在庫台帳など複数の台帳で同じ情報を管理することになります。そのため、2重3重の記録作業から人的ミスが発生し、徐々に在庫情報の「ずれ」が生じていきます。また、システムを活用している場合でも、在庫に関する情報がシステムごとに分散されている場合も同様の記録ミスが生じます。

 

請求と出荷に「ずれ」が生じる

営業担当者が「今月は目標売上高を達成しているから、これくらいの売上を来月分に回そう」など個人的な目的で行動をすると、台帳上の在庫と実在庫が合わなくなります。さらに、「出荷は今月だけで売掛金回収は来月」などイレギュラーな対応も在庫にずれが生じる原因です。特に中小企業・小規模事業者では、取引先の商習慣に合わせてイレギュラーな対応が多くなるため、帳簿上と実在庫との相違が生じやすくなります。

 

現場の作業ミスから「ずれ」が生じる

作業現場において間違った原材料(部品)等を供給してしまったり、出荷点数を間違えたりすることで現場作業のミスによる在庫の「ずれ」が往々にして発生します。作業員によるミスは100%防ぐことは困難ではありますが、ミスが起きることを前提に在庫をどう合わせるかを検討する必要があります。

 

在庫管理ルールが明確になっていない

在庫管理現場では、入出荷作業からさまざまなトラブルによって在庫が合わなくなることがあります。トラブルごとに適切な対処ができれば問題はありませんが、在庫管理ルールが曖昧になっていることで現場作業員に判断を任せる結果になると、当然ながら在庫の「ずれ」が生じていきます。

 

仕掛品によって在庫管理が複雑になる

仕掛品とは、製造工程によって生まれた完成品を構成する部品などのことで、酒造業においてもさまざまな仕掛品が作られます。これは在庫管理を複雑にしている要因の1つであり、仕掛品を管理できないと適切な在庫管理もできません。

 

在庫管理を徹底できないと何が起こるのか?

在庫管理の難しさはどの企業も同じですが、酒造業では特に特殊な製造工程を持ちますので、在庫管理はより複雑になります。では、在庫管理を徹底できないと何が起こるのでしょうか?

酒造業において大きな問題の一つとして考えられていることが「正確な原価情報が把握できない」ということです。原価は在庫状況を強く反映するため、徹底した在庫管理ができていないと、正確な原価情報を把握することはできません。しかし、酒造業において高い利益率を確保するためには常に原価情報をチェックし、それに合わせた工程管理を行ったり、仕入先選定等を行ったりする必要があります。酒造は日本の伝統でもあるため、原価管理といった近代的な作業は行わないというような兆候もあるかもしれませんが、現代社会を生き抜き伝統を残すためにはやはり原価管理などをしっかりと行う必要があります。

もう1つの大きな問題が「キャッシュフローの悪化」です。在庫管理がなされていない現場では、往々にして大量の在庫を抱えています。これは、過剰在庫とも言われ、合わなくなった在庫を補うために大量発注した結果です。この弊害は経済面にも及び、在庫が多いほど手元に残せるキャッシュが少なくなるため、企業のキャッシュフローが悪化していきます。もちろん、過剰在庫を保管するための管理費なども必要になります。理想的なのは、最小の在庫だけを持ちキャッシュを手元に残していくことです。

また、上記とは逆に在庫管理されていないため欠品する場合には、機会損失になるだけでなく企業の信用の低下、顧客満足の低下にもつながることになります。

このように、在庫管理が徹底できていないことで生まれる弊害は多く、経営に大きな影響を与えてしまうのです。

酒造業のための経営指針ガイド
三酒の神器 パンフレット

在庫管理を実施する上でのポイント

では、在庫管理を徹底するためにはどんなことに取り組めばよいのでしょうか?ここではそのポイントについてご紹介します。

 

Point1. 各台帳を連携し、在庫情報を常に合わせる

在庫管理を徹底するためには、まず各台帳上の在庫情報を常に合わせることが大切です。そのための方法はいくつかあります。たとえば、マスター台帳を作成して、そこに入力した情報が自動的に連携されるようなマクロを作成することです。その他の方法として、酒造業向けのERP(Enterprise Resource Planning)を導入し、在庫管理システムとその他のシステムが連携できる環境を整えるという方法があります。たとえば、アウトソーシングテクノロジーが開発している「三酒の神器(さんしゅのじんぎ)」は、在庫情報・販売情報・蔵内情報・原価情報などを統合的に管理するために各システムが連携されており、酒造業における複雑な在庫管理を簡素化できます。例えば、蔵内情報(詰口情報)を連携することで、2重入力することなく製品在庫が増加するなど在庫管理が簡素化できます。

Point2. 在庫管理マニュアルを作成する

在庫管理ルールが曖昧なことで起こるトラブルは意外と多く、それによって在庫が合わなくなる問題が生じます。そこで、在庫管理マニュアルを作成して在庫管理ルールを明確にすることで、それに付随するトラブルを未然に防ぎ、在庫管理を行いやすくします。

Point3. 在庫が見つからない状況を防ぐ

在庫の“ロケーション管理”ができていないと、いざ在庫が必要になったときに見つからないというトラブルが発生します。そうすると、新しい在庫を発注しなければいかなくなり、結果的に無駄な在庫を抱えることになります。無駄な在庫があるほどキャッシュフローが悪化するため、経営状況も苦しくなっていきます。

Point4. 新しい機器を取り入れる

在庫を管理するためのバーコード発券機やスキャナーなど、新しい機器を取り入れることで複雑な在庫管理を簡素化できます。また、ERPなどのシステムと連携することで在庫管理効率を劇的に向上して、無駄をなくしつつ生産性を向上することも可能です。

酒造業の在庫管理にITの力を!

酒造業に限った話ではありませんが“伝統×IT”という改革が多方面で起きています。酒造業においては、世界市場を見据えたビジネス戦略や、事業の多角化も進んでいるため、これからの時代は酒造業でもIT活用に積極的になる必要があります。この機会に、在庫管理を徹底するためだけではなく、さまざまな経営課題を解決するためにITの力を活用してみてはいかがでしょうか?その際には弊社アウトソーシングテクノロジーにお声がけいただければ幸いです。

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