酒造業における蔵内管理とは?

 2019.06.03  株式会社アウトソーシングテクノロジー

「酒造」は、日本が世界に誇る伝統文化です。日本人が独自に編み出した酒造工程は、繊細かつ洗練された味の酒を生み出し、海外で今、大変な人気を集めています。とくに、特定銘柄酒に関しては国内での入手が困難になるほど海外市場で高い人気を集めており、酒造業界の未来がそこにあると言ってもよいほどです。

日本国内において、少子高齢化や飲酒人口が減っていることから「市場が衰退している」と考えられています。しかし、特定銘柄酒の人気は増していますし、ひと昔前よりも「高級志向」が広まっているようです。

こうした状況の中、現代の酒造業界に求められているのは「統制された酒造プロセスにより、高品質な酒を安定して市場に供給することと、会社全体の情報管理を徹底して、経営活動の効率化を図ること」です。

日本の伝統文化である「酒造」では、伝統を守ることに加えて近代ビジネスに対応するための経営改革を実施したり、IT活用を促進したりすることが大切になっています。実際に、国内・海外で高い人気を誇る特定銘柄酒は、何らかの経営改革を実施し、IT活用によって情報管理や事業の効率化などを徹底しています。

本稿でお話するのは、そんな酒造業における「蔵内管理」についてです。現代の蔵内管理に求められているものとは何でしょうか?

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蔵内管理とは?

蔵内管理は、一般的な製造会社における「生産管理」と同じ役割を持っています。生産管理をもとに、蔵内管理の概要について整理していきましょう。 

まずは、製造計画から

製造会社にとって大切なのは、中長期的な製造計画を立て、それを購買計画や生産スケジュールに落とし込んでいくことです。この製造計画を蔵内管理では「仕込配合表」と呼んだりします。最終的にどれくらいの商品を出荷するのか?それに応じて、どれくらいの仕入れが必要なのか?製造に必要な業務量や人材など(生産能力)は?など、すべては製造計画がから始まります。

 

商品の品質を左右する「仕入れ」

酒を扱う酒造会社では、どんな原材料を仕入れるかによって品質に大きな影響を与えます。さらに、仕入れによって原価も変動するため、仕入れは蔵内管理においてかなり重要な位置づけにある業務です。一般的な製造会社においても、品質の高い原材料や部品を仕入れることが、最終的な商品価値へと繋がっていきます。ただし、品質を追求すれば仕入値はいくらでもよい、というわけではありません。酒造会社も「利益を出すこと」が企業としての本質ですので、高品質な原材料を、可能な限り安く手に入れるというのが大きなポイントになります。

 

在庫は経営そのもの

仕入れた原材料は在庫としていったん管理し、必要に応じて製造工程(酒造工程)へと回していきます。また、完成した商品(詰口)を販売在庫として管理するなど、在庫は広範囲にわたる業務です。実は「在庫は経営そのもの」と言われるほど重要な業務です。在庫は会社にとっての棚卸資産であり、資産ということは「現金化されるのを待っている」ことになります。そのため、過剰在庫などで在庫にムダが生じていると会社のキャッシュフローが悪化しますし、在庫不足はビジネス上の機会損失を生みます。蔵内管理でも在庫業務を徹底することで、高品質の酒とより多くの利益を生み出します。

 

一番欠かせない製造管理

製造管理は生産段階に入った商品の製造スケジュールや製造状況の管理や、不良品率管理などを行う業務です。蔵内管理においても酒造工程を逐一管理したり、各部署・各部門・各責任者が密に連携を取って酒造管理を徹底していきます。

 

このように、蔵内管理は生産管理になぞって考えていくと、その業務内容を分かりやすく理解することができます。

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蔵内管理は何が難しい?

酒造会社において多数ある業務の中でも、やはり蔵内管理は一番難しいものとされています。これは一般的な製造会社においても、生産管理が一番難しく、最も重要とされているのと同じです。では、蔵内管理は何が難しいのでしょうか?

蔵内管理が難しいポイント

1. 情報の集約管理がほとんどできない

蔵内管理を徹底し、効率良く高品質な酒を造るためには蔵内に散見しているさまざまな情報を集約管理し、品質状態・酒造工程・人材配置などを常にチェックしながら酒造プロセスを進めていく必要があります。しかしながら、酒造は「マラソンしながら将棋を指すようなもの」なので、よほど卓越した管理能力を持つ杜氏やマネージャーが存在しない限り、蔵内管理を徹底するのは難しいでしょう。

 

2.酒造プロセス間のつながりを認識しづらい

蔵内管理における各酒造プロセスは、すべて蜘蛛の巣状のネットワークのように繋がっています。しかしながら、そうした酒造プロセス間の繋がりを可視化することは難しいですし、従業員全員がその繋がりを意識しながら酒造に取り組むことはまた困難です。そのため、円滑な酒造プロセス進行の妨げになったり、酒造に対する姿勢が変わってきたりします。

 

3.仕入・在庫・製造・販売のSC管理が難しい

酒造会社でも製造会社でも、SC(Supply Chain:サプライ・チェーン)の管理が非常に重要な役割を担っています。特に四季醸造を行っている酒造会社では、仕入・在庫・製造・販売といった各SCでのリードタイムを短縮することで、市場に投入できる商品量が大きく変化します。しかし、これらのSCを一括管理するためには、各プロセスを繋いだシステムが必要になるため、SC管理を徹底できていない酒造会社は多いものです。

 

4.暗黙知が多く、業務が属人化しやすい

伝統文化を有する酒造会社によくある問題は「暗黙知が多い」や「業務の属人化」です。暗黙知とは経験や勘にもとづく知識のことで、主に酒造歴の長い杜氏などが持つ独自の知識やスキル等がそれにあたります。暗黙知が多いと何がよくないのかというと、酒造が特定の人に依存してしまい、同じ酒造プロセスを担当できる人がいなくなってしまうことです。これを「業務の属人化」といいます。これからの時代、酒造会社では独自の技術や酒造プロセスの標準化を社内で進めていき、高品質な酒をより安定的に生産するための体制が必要です。

 

5.進捗管理が進まない

蔵内管理において進捗遅れは、酒造コストの増加を意味します。また、酒造プロセスの進捗遅れが発生すればするほど生産できる量は限定的になるため、それに応じて売上高と利益も低くなってしまうでしょう。

蔵内管理をシステムで徹底する

酒造会社にとって、蔵内管理は非常に重要な業務でありながら、管理を徹底しずらい難しさがあり、課題も多いのが現状です。そこで、システムの活用をおすすめします。

弊社アウトソーシングテクノロジーが提供する「三酒の神器」では、蔵内管理に必要なさまざまな業務を1つのシステムで管理できるように設計され、かつ販売管理や購買管理といった、他のシステムと連携しながら、酒造全体の情報を管理していくことができます。

これからの時代を生き抜く酒造会社では、IT活用が必要不可欠です。新しい酒造プロセスの確立、技術革新や事業成長を支えるシステム基盤、酒造効率向上によるコスト削減、業務の見える化による経営スピードの向上といった、新しい風を取り込むためにも三酒の神器をぜひご検討ください。

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