酒税申告とは?酒税の説明と大きな流れ

 2019.07.22  株式会社アウトソーシングテクノロジー

酒税は数ある税制度の中でも複雑なものとして知られており、実際に酒造事業者に従事する経営者や従業員においてもあまり詳しく知らないという方が多いのが実情ではないでしょうか。特にお酒の種類によって違いがあったり、日々税制が変更されたりするため、それらを細かく理解することは、長年この業界で経理を務めたものでない限り難しいことでしょう。今回は、酒税及び、酒税申告についてわかりやすく解説いたします。

※本情報は2019年7月に執筆されたものであり、内容は変更される場合がありますので最新の情報は国税庁のホームページをご確認ください。

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そもそも酒税とは?

酒税とは文字通り、酒類を消費する際に課せられる税金のことであり、消費者が負担する間接税でもあります。

ちなみに酒類とは、酒税法にて①発泡性酒類、②醸造酒類、③蒸留酒類、④混成酒類の4種類に大きく分類(大分類)されています。

① 発泡性酒類
ビール、発泡酒、その他の発泡酒(シャンパンなど)

② 醸造酒類
清酒(日本酒)、果実酒(梅酒など)、その他の醸造酒

③ 蒸留酒類
連続式焼酎、単式蒸留焼酎、原料用アルコール、ウイスキー、ブランデー、スピリッツ

④ 混成酒類
合成清酒、みりん、甘味果実酒、リキュール、粉末酒、雑酒

 

それぞれの大分類には中分類が存在し、全部で17品目に区分されています。消費者の観点では、普段何気なくコンビニやスーパーで購入するお酒ですが、小売価格に対して消費税が課せられていることは周知の事実でしょう。つまり、酒類に課せられる消費税は「酒税を含んだ小売価格」に対して課せられるというわけです。

酒税の歴史

日本における酒税の歴史は、江戸幕府にて酒造統制のために酒株制度を導入したことから始まります。ちなみに酒株とは、今でいうところの酒造会社が取得する事業免許のことです。1697年、幕府はさらなる税収の向上に向けて、酒造屋に対して「現行の酒価格の50%もの運上金(税金のようなもの)」を、酒運上(さけうんじょう)と称して課しています。

その後、明治維新後の新政府は冥加金(これも税金のようなもの)として造酒100石ごと金20両(約260万円)を課し、その翌年には鑑礼冥加として酒造100石に対して金10両(約130万円)を毎年の冥加として課しています。

1896年には酒造税法が成立しており、旧来の酒税免許税を新税である営業税に譲り、これを廃止して酒造造石税に一本化するとともに、造石高1石に対して第1種(清酒・白酒・みりん)7円、第2種(ワイン等)6円、第3種(焼酎・酒精)8円と定めて基本原則としています。

現行の酒税法が施行されたのは1953年のことです。戦後、1950年に国税収入の18.5%を占めたのをピークに、増税傾向の継続にかかわらず他産業の復興と酒離れもあり、新しい酒税法が確立されました。

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酒税法の税制改正について

酒税法は1956年に施行されて以来、何度かの改正が行われています。直近の改正は2017年4月であり、酒税法を段階的に簡素化していく予定が発表されています。種類ごとに、酒税法がどのように変化していくかを確認してみましょう。

発泡性酒類 - ビール及び発泡酒類が安くなる

発泡性酒類は2026年10月を目安に、税率を一本化するスケジュールが確立されています。その上で、現在1キロリットルあたりの酒税を220,000円から155,000円まで安くする予定です。従って、ビールや発泡酒類などは今までよりも税率が低くなり、新ジャンル(第3のビール)の税率が高くなります。ちなみに、2018年4月よりビールの麦芽比率が67%から50%へ引き下げられており、果実及び一定の香辛料も副原料として加えることになっています。

 

醸造酒類 – 清酒(日本酒)が安くなる

醸造酒類でも将来的に税率を一本化するスケジュールが確立されています。現行では1キロリットルあたり140,000円であるのに対し、100,000円まで安くなる予定です。これにより清酒の税率が低くなりますが、ワインなどの果実酒は税率が高くなる予定です。近年では日本の清酒が世界的な評価を受けていることから、清酒市場の回復を図った政策と捉えることもできます。

蒸留酒類 – 税率の特例を見直す

蒸留酒類の酒税見直しは行われていませんが、「低アルコール分の蒸留酒類等に係る酒税の税率の特例」の見直しが実施されます。これまで、アルコール分が9度未満であれば1キロリットルあたり80,000円と定められていたのが、11度未満であれば1キロリットルあたり100,000円になります。そのため、アルコール分が9度~11度までの蒸留酒の酒税が高くなります。

混成酒類 – 基準税率の引き下げ

混成酒類は、現行では1キロリットルあたり220,000円となっていますが、2020年より200,000万円まで引き下げられる予定です。

酒造事業者にとって税制対応が連続的に発生

上記でご紹介した酒税の見直しは2026年10月までにかけて段階的に実行されていく予定です。具体的には2020年10月の酒税対応、2023年10月の酒税対応、酒税の見直しの一本化が終了する2026年10月の酒税対応が必須になるのです。また、2019年10月には消費税の変更も予定されています。

このことから酒造業を営む企業は、1~3年おきの税制変更に対して、継続的に対応できることが必要になります。直近の消費税増税については「酒造業者が知っておきたい今後の消費税と軽減税率について」にて詳しくご紹介しておりますのであわせてご確認ください。

ただし、消費者や酒類製造者への影響を考慮したり、経済等の影響を考慮したりしたうえで実行していくものなので、途中での改正変更はあり得ます。そのため酒造事業者は常に注意を払う必要があります。

今後も継続的に同様の税変更が発生する可能性もありますし、2020年1月のWindows 7サポート終了などもあるので、酒造事業者は先を見越してシステムや会社をしっかりと選ぶことが重要です。

酒税申告について

ここで、酒類製造者に必要な酒税申告について、そのプロセスを簡単にご紹介します。詳細に関しては国税庁のホームページをご確認ください。

国税庁:[手続名]酒税の申告(酒税納税申告書等)手続き

  1. 手続きの根拠
    酒税法第30条の2第1項、第3項

  2. 手続き対象者
    酒類製造者

  3. 提出時期
    酒類の移出、戻入れ等のあった月の翌月末日まで

  4. 提出方法
    申告書を作成の上、提出先に持参または送付する

  5. 手数料
    申告にあたり手数料は不要

  6. 添付書類及び部数
    酒税納税申告書1部
    税額算出表1部
    課税、免除、控除(還付)税額計算(明細)書1部
    (国税局所管酒類製造場等については各2部)

  7. 申請書様式
    酒税納税申告書 (平成成28年1月以後提出用)
    酒税納税申告書(平成27年12月以前提出用)
    税額算出表
    課税、免除、控除(還付)税額計算(明細)書

  8. 提出先
    酒類・酒母・もろみの製造場の所在地を所轄する税務署

  9. 備考
    酒類等を製造場において飲用したときなど、一定の場合には、その都度申告が必要になる。

以上、酒税及び酒税申告について解説しました。常に変化をしている酒税には十分注意を払う必要があるでしょう。酒税申告や申告書の書き方などをしっかりと把握した上で、正確に申告するよう努めることが重要です。

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