酒造工程管理のシステム化による経営改善

 2019.06.17  株式会社アウトソーシングテクノロジー

酒造業において、酒造工程が1つのナレッジ(知識)として体系立てて管理されているところは多いでしょう。その一方でその工程内容が、職人気質の杜氏や経営者の頭の中だけで管理されていることも多く、システム(仕組み)として管理されていない酒造会社も多いのではないでしょうか。

工程管理の大切さは、製造業で考えると分かりやすいでしょう。各製造工程にはリードタイムや一定の不良率などが存在します。その中で許容範囲を決め、これを達成することで良質な商品を安定的に製造することができます。しかし、工程管理がしっかりできていないと、製造遅延が発生したり不良率が高まったり、さまざまな問題を起こします。これらの問題は経営を圧迫することは言うまでもありません。

本稿では、酒造業における一般的な工程について解説した後に、工程管理の重要性についてご紹介致します。これらからの酒造業について考える経営者や関係者の方は、ぜひご参考にしてください。

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酒造工程をおさらい

酒造工程は酒造会社によってさまざまですが、大まかな工程は決まっています。まずは、日本酒を参考に酒造工程のおさらいをしていきましょう。

1. 精米

酒造用として特別に栽培された酒米(主に山田錦)のほか、コシヒカリなど食用として栽培されている品種も酒造に用いられます。一般酒では精米歩合が70%ほど、吟醸酒では60%以下に磨くのが通常です。

2. 洗米・浸漬

白米についている糠(ぬか)分を洗い流す工程です。ちょうど、ごはんを炊く前に米を研ぐのと同じ作業です。浸漬(しんし:水にひたすこと)で水分を適量含ませます。時間は数分から数時間、米の品種・硬軟・精米歩合によって違います。

3. 蒸米

適量の水分を含ませた米を蒸していきます。甑(こしき)を使用した昔ながらの方法と、連続蒸米機によって米をベルトコンベアの蒸気層を移動させながら蒸す方法があります。甑(こしき)は大きな蒸籠(せいろ)のようなもので、米を蒸し、蒸し具合を確かめながら次の工程へ移ります。

4. 麹(こうじ)づくり

麹とは麹菌や穀類に生やし、酵素(こうそ)を分泌させたものです。日本酒では黄麹菌(きこうじきん)の胞子を種麹(たねこうじ)として、蒸した米に振りかけてから約2日間培養することで酵素を創り出します。この麹菌は酒蔵によって独自の品種を使用している場合もあります。

5. 酒酵母(しゅぼ・もと)づくり

アルコール発酵が伴った酵母(こうぼ)を培養し、大量に増殖させたものが酒母です。「しゅぼ」や「もと」と呼ばれ、文字通り日本酒のもとになるものです。

6. 醪(もろみ)の発酵

日本酒になる前の発酵状態のものを「醪(もろみ)」と呼びます。酒母、麹、仕込み水、蒸米を発行タンクに仕込んで、およそ20日~30日かけて発酵させます。発酵タンクの中では米のデンプン質が酵素によってブドウ糖に分解(糖化)され、そのブドウ糖は酒母によってアルコール分へと変えられていきます(発酵)。この糖化と発酵の2つの働きを同時に進行することを「並行複発酵」と呼びます。

7. 酒しぼり・上槽

発酵が終了して熟成した醪(もろみ)は、圧搾して酒(液体)と酒粕(個体)に分離します。この作業を「酒しぼり」や「上槽(じょうそう)」と呼びます。

8. 火入れ

火入れは、60度~65度ほどの低温で酒を加熱する酒造工程であり、日本酒造りにおいて非常に重要な工程です。日本酒によって火入れを何度か行ったり、一切火入れを行わなかったり、日本酒の特性が大きく分かれる部分でもあります。加熱によって微生物を殺菌すると共に、酒の香味を変質させる酵素の働きを止めて熟成度を調整します。さらに、日本酒の保存性を高める効果があります。

9. 貯蔵・熟成

しぼりたての酒(新酒)に火入れをした後に、貯蔵タンクにて6ヵ月から1年ほど貯蔵するのが一般的です。ただし、銘柄によって貯蔵・熟成時間は異なります。新酒は荒々しい味わいと新酒独特の香りを持っており、貯蔵・熟成を経ることでまるみがあり調和のとれた味わいになります。

10. 調合

年間を通じて安定した品質の日本酒を市場に供給する場合は、きき酒で数多の原酒を1つ1つ評価し、分析データにもとづいてそれぞれの原酒の持ち味を活かすように調合します。従って、厳密には同じ銘柄であっても「同じ日本酒」は存在せず。酒造する年や期間、原料や地域の特性が大きく影響します。

11. 詰口

詰口とはビンやパックに日本酒を詰める工程のことを指します。十分に殺菌したビンやパックに詰口を行い、ラベル貼り等を行ってから最終的には出荷されます。

 

少々長くなりましたが、以上が日本酒の酒造工程です。私たちが口にする日本酒は、この様な複雑な工程を経ているのです。酒造会社によってはもっとシンプルな酒造工程で荒々しい味わいの日本酒を造るところもあれば、より複雑な酒造工程で繊細かつフルーティな味わいの日本酒を造るところもあります。

酒造業のための経営指針ガイド
三酒の神器 パンフレット

酒造業における工程管理はなぜ重要なのか?

「酒造は日本の伝統文化だ。本当に良い酒は、経験豊富な杜氏や経営者の知識・経験・勘から造られる」そう考える蔵元や酒造会社経営者は今でも少なくありません。確かに、酒造は日本の伝統文化ですし、良い酒が造られているのは杜氏や経営者が蓄積してきた知識・経験があったからでしょう。しかしながら時代は変遷し、今では多品種大量生産の時代でもあります。

さらに、日本人の飲酒習慣は減少傾向にあり、酒類全体の市場が縮小傾向にあることは周知の事実です。そうした中で、中小企業の酒蔵が生き残り、かつ事業成長を遂げるためには何が必要なのか?

その答えの1つが「システム化された酒造工程管理」です。

まず、誤解しないでいただきたいことは、酒造工程管理をシステム化したとしても、杜氏や経営者の知識・経験・勘が不要になるわけではありません。酒造工程管理をシステム化する真の目的は「品質の高い酒を今よりも低コストで製造し、安定的な市場供給と原価低減を目指す」ことにあります。酒そのものの品質を他の商品と均質化されてしまうようなことは、システム化では起こりません。

「酒造にシステムを取り入れることで、自商品独自の旨味や雑味が無くなり、市場に流通している商品との差別化が難しくなるのではないか?」と心配する経営者が、実は多いのです。しかし、酒造工程管理をシステム化することはあくまで「安定的供給」と「酒造コストの削減」なので、酒そのものの品質が変わってしまうようなことはありません。

となると、酒造工程管理のシステム化はやはり、これからを生きる酒造会社にとって欠かせないものになります。

市場が縮小傾向にある日本でも、特定銘柄酒の人気は高まっていますし、何よりも日本産酒類の海外人気が劇的に向上しています。そうした中、他社に負けない酒造りと品質を保つためには、やはり酒造工程管理をシステム化し、最高品質の酒を安定的かつ効率的に生産、供給、販売することがとても重要になります。

杜氏や経営者の頭の中だけで酒造工程が管理されていると、人間なのでどうしても品質のムラが発生しやすくなりますし、万が一その杜氏や経営者が退職したり、働けない状態になったりしたらどうするのか?そうしたリスクも考慮すると、酒造工程管理をシステム化する意義は大いにあるでしょう。

例えば、弊社が提供している三酒の神器を導入すれば以下のことが可能になり、酒造業を営む企業の経営に貢献することが可能になります。

  1. 業務の効率化
     手書きで行われている酒類の製成及び移出の数量等申告書、組合資料(必須ではない)が日々データ入力することで、システム出力可能
  2. 作業の見える化・標準化
     工程管理を入力することで、作業の見える化を可能とし、作業の標準化のための重要な情報となります。
  3. データ蓄積・分析
     データ蓄積することで、様々な角度からの分析が可能となります。
  4. トレーサビリティの充実
     原料仕入から詰口まで、データの流れが追えることが可能となります。

皆さんもこの機会に、酒造工程管理のシステム化を検討し、事業成長に向けて「安定的供給」と「酒造コストの削減」を目指してみてはいかがでしょうか?

本稿を読まれて、自社の酒造工程の管理を効率化したいと考えたのならば、酒造業向けに最適化された工程管理システムの導入をぜひご検討ください。その際にはアウトソーシングテクノロジーが提供する「三酒の神器」をご検討いただければ嬉しいです。

三酒の神器 パンフレット

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