酒造業における購買管理のポイント

 2019.05.27  株式会社アウトソーシングテクノロジー

「サプライチェーン(Supply Chain)」という言葉をご存知でしょうか?これは、資材や原料の調達から納入、在庫、製造、販売、出荷、配送といった、顧客のもとに商品が届くまでの一連の流れを供給連鎖(サプライチェーン)という言葉に例え、商品・業務・情報の流れを管理するための概念です。ちなみに、サプライチェーンを総合的に管理することを「サプライチェーンマネジメント(Supply Chain Management)」と呼びます。

酒造業においてもサプライチェーンマネジメントの実施は、必須の時代だと考えられています。特に、飲酒人口の減少や若者の酒離れなど、国内市場で苦しい戦いを強いられている事業者にとって、海外市場での盛況などのビジネス機会を逃さないためには、資材の仕入れから輸送までのプロセスを滞りなく、かつ効率的に実行し、需要の高い市場へと商品を届けることがとても重要です。

このサプライチェーンマネジメントで重要な役割を果たしているのが、商品・業務・情報の流れの起点となる購買管理です。本稿では、酒造業者に今後取り組んでいただきたい購買管理の基本についてご紹介します。

supply-chain-management

購買管理とは?

日本の国家規格であるJIS(日本工業規格)によると、購買管理は「生産活動に当たって,外部から適正な品質の資材を必要量だけ,必要な時期までに経済的に調達するための手段の体系」と定義されています。

引用:Z 8141 : 2001 生産管理用語

つまり、製造管理の一環として、酒造に必要な資材の品質を確認しつつ、必要な量を必要な期間までに調達し、仕入から酒造へのプロセスを円滑に実行すると共に、市場への商品供給にかかる時間を短縮するための管理体制ということになります。

購買管理の機能

さらに、JISでは購買管理の機能について13個の項目で説明しています。簡単にその内容をご紹介いたします。

1. 内外製区分

資材というのはその種類によって内製するか、外注するかに分かれます。価格や技術、設備などの条件によって内外製区分を決定します。 

2. 購買計画

酒造計画に応じて必要な資材をどこから、どれくらいの量を、いくらで購入するのか計画します。複数の資材を要する商品に関しては酒造計画との調整を密に行って購買計画を立てていきます。 

3. 仕入先開拓と選定

資材は仕入先によって価格や納期、品質が違います。そのため現地見学などを通じて生産能力などを把握し、最適な仕入先の開拓と選定を行います。 

4. 取引契約

仕入先と購買に関する取り決めをして契約します。 

5. 発注管理

仕入先に発注した資材の管理を行います。主に発注資材の種類や量を確認したり、発注品の追跡を行ったりして購買計画を調整します。

6. 価格管理

購買に関する価格設定から仕入先との折衝などを行います。 

7. 原価低減管理

資材価格は商品原価に直結する要素です。そのため季節による変動要素などを考慮して購買価格を下げて原価を下げる取り組みが必要です。

8. 納期管理

購買計画に基づいて購入した資材が納期通りに納品されるかを管理します。 

9. 品質管理

品質規定にもとづいて納入した資材の品質をチェックします。品質に問題がある場合、仕入先に連絡して返品など対処を仰ぎます。

10. 検収支払管理

購入した資材を納入し、検収してから支払いまでの流れを管理します。 

11. 仕入先管理

同じ仕入先から継続して資材を購入するために、資材ごとに仕入先を管理します。

12. リスク管理

資材価格が高騰したり、資材供給がストップしたり、想定し得る問題に対応すべく、対策を立ててリスクを管理します。

13. 購買業務規定の整備

購買部門における業務マニュアルや規定を整備します。

 

これらの、購買管理の機能を作業レベルに落とし込んだものが、購買管理業務であり、酒造におけるQCD(品質、コスト、納期)を維持するために欠かせない管理体制です。

酒造業のための経営指針ガイド
三酒の神器 パンフレット

酒造業者に購買管理はなぜ重要なのか?

酒造業にとって、いくつかの大きなビジネスチャンスが周囲に存在する中で、国内市場で厳しい戦いを強いられているのが現代の酒造業界です。その中で生きる酒造業者が、経営再起に取り組んだり、市場シェアを伸ばすためには新しい経営戦略を立案したり、最新のマーケティングを取り入れるなど様々な施策が考えられます。そして、事業を効率化して今後の成長を図るためにはITの利活用が欠かせません。

中小企業庁が発行した「中小企業白書2007年版」によると、売上原価に占める資材費の割合は平均52%となっています。現在でもおおむねこの水準を維持しているでしょうから、資材費は売上原価の過半数を占めています。この資材費を可能な限り低減することで、経営改善に成功する事例もたくさんあります。

では、資材費低減のために何ができるのか?現状取引のある仕入先にテコ入れをして、適切な仕入先を再選定し、最適な費用で資材を調達できるよう計画します。もちろん、資材費は安ければよいわけではなく、品質とのバランスが重要です。資材費と品質、双方のバランスを考慮しながら最適な仕入先を選定することは、購買管理の基本の仕事です。

長年経営している酒造業者の場合、古くから付き合いのある取引先から資材を調達しており、その関係を反古にできないという酒蔵事業者も多いでしょう。しかし、第一に考えるべきはまずお客様であり自社の経営ですので、他の仕入先を開拓してみたりと何らかの施策を講じる必要性があります。

もう1つ、酒造業者にとって購買管理が欠かせない理由は、仕入先管理を徹底し、資材調達を効率良く行って、仕入から在庫、在庫から酒造、酒造から販売といった一連のサプライチェーンにかかる時間を短縮することが大切だからです。

市場への商品供給速度がはやいということは、それだけ多くの消費者に商品を手に取ってもらえる機会が多くなり、市場シェアを獲得するために大きな武器になります。もちろん、事業運営効率が増すわけですから、その分、コストを低減させることが可能です。

酒造業者向け購買管理システム

ここまで解説したような購買管理を実現するにあたって、Microsoft Excelや手作業の管理では不足する機能が多くなり、購買管理を正しく実施することは難しいでしょう。そこで必要になるのが「購買管理システム」です。酒造業者向けの購買管理システムを活用すれば、酒造業という特殊業界においても、仕入先管理や資材管理などを徹底して行うことができます。

購買管理システムの情報処理例

1. 発注

(ア) 発注伝票入力

2. 発注書

(ア) 発注書発行

3. 資材仕入、詰口・タンク戻し、詰替・ラベル張替え、破損・廃棄

(ア) 資材仕入伝票入力

(イ) 詰口、タンク戻し入力

(ウ) 詰替、ラベル張替入力

(エ) 破損、廃棄入力

4. 日報

(ア) 各種入力チェックリスト

(イ) 入荷予定リスト

(ウ) 発注予定リスト

(エ) 発注残リスト

(オ) 仕入日報等

5. 支払

(ア) 支払伝票入力

(イ) 支払伝票チェックリスト

6. 月報

(ア) 買掛金一覧表

(イ) 仕入先元帳

(ウ) 仕入月報等

(エ) 資材受払表(月報)

7. 棚卸

(ア) 棚卸調整入力

 

このように、調達・発注における一連のプロセスをシステム化し、購買管理体制を整えることで、そこから発生した情報をさらに原価管理システムに組み込み、実際原価の把握なども行えます。本稿を読まれて、自社の経営課題は購買管理にありと考えたのならば、購買管理システムの導入をぜひご検討ください。その際にはアウトソーシングテクノロジーが提供する「三酒の神器」をご検討いただければ嬉しいです。

三酒の神器 パンフレット

RECENT POST「酒造業とIT」の最新記事


酒造業における購買管理のポイント