酒造業者が知っておきたい働き方改革関連法案について

 2019.08.21  株式会社アウトソーシングテクノロジー

酒造事業者のみならず日本中の企業が働き方改革に取り組んでいます。そんな働き方改革ですが、既に法律(働き方改革関連法案)が整備され徐々に施行されており、酒造業の皆様においても知らなかったでは済まされないことになっています。

働き方改革関連法案(働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律)は、働き方改革の推進を目的とした、労働基準法のほかいくつかの関係法をまとめて改正する法案です。2018年4月6日に法案が国会に提出され、2018年6月29日に成立しています。すでにいくつかの法案は2019年4月1日より施行されており、今後も順次施行されていく予定です。

酒造業の中には「働き方改革関連法案って、大企業だけが対応すべきものじゃないの?」と考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、働き方改革関連法案は大企業だけでなく中小企業にも大きく関係する法案であり、もちろん酒造業においてもその影響は大きく受けるでしょう。

本稿では、酒造業者が知っておきたい働き方改革関連法案についてご紹介します。

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働き方改革関連法案ってなに?

あらためて説明しますと、働き方改革関連法案とは2018年6月29日に可決・成立した、働き方改革の推進を目的としたいくつかの法案を指します。そもそも「働き方改革」という言葉が使用され始めたのは2016年頃であり、安倍晋三 内閣総理大臣が主体となって推進している「一億総活躍社会」の実現に向けた1つの施策としてスタートしています。

2016年9月27日には、政府の主要人物と有識者を集めて第一回となる「働き方改革実現会議」が開催され、以降10回の会議を実施して働き方改革に向けた法改正案が提出されています。

そうして提出された法案が実際に可決・成立し、2019年4月1日より順次施行されているというわけです。働き方改革関連法案では、以下8つの法律の改正が含まれています。

  1. 労働基準法
  2. 労働安全衛生法
  3. 労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)
  4. 労働施策総合推進法(労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律)
  5. 労働時間等設定改善法(労働時間等の設定の改善に関する特別措置法)
  6. パートタイム・有期雇用労働法(短時間労働者及び有機雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律)
  7. 労働契約法
  8. じん肺法

 

働き方改革関連法案によって改正される内容とは?

では、具体的にどういったことになるのでしょうか?大企業と中小企業の適用時期は異なりますのでその適用時期もあわせてポイントをご紹介します。

法案

詳細

適用時期

残業時間の上限規制

時間外労働の上限が月間100時間、年間720時間に設定され、月間45時間を超える月は6ヵ月まで、かつ複数月間平均80時間を上限とする

大企業2019年

4月~

中小企業2020年

4月~

高度プロフェッショナル制度の創設

高度に専門的な職務に従事し、一定の年酒を有する労働者について本人の同意があれば、労働時間等の規制の対象外にすることができる

大企業/中小企業 2019年4月~

同一労働同一賃金

正社員と非正規雇用労働者(派遣社員/契約社員/パート/アルバイト)などで区別せず、同一の労働をした際は同一の賃金を支払うことを義務化

大企業2020年

4月~

中小企業2021年

4月~

有給休暇の取得義務化

年間10日間以上の有給休暇がある労働者が5日以上の有給休暇を取得することが、企業に対して義務付けられる

2019年4月~

勤務時間インターバル制度

 

勤務の終業時間および始業時間の間に一定時間のインターバルを置くことを定め、勤務時間インターバル制度の普及促進に努めなくてはならない

産業医の機能強化

事業者が衛生委員会/産業医に対して、健康管理に必要な情報を提供することが義務付けられる

月60時間超の残業の割増賃金率引き上げ

大企業ではすでに施行されている割増賃金の引上げを中小企業でも実施される(25%→50%)

中小企業2023年

4月~

 

以上のように、働き方改革関連法案にはかなり多くの法改正が盛り込まれているため、酒造業者としても見逃せない内容が多数あります。では、中小企業と大企業の定義とは何でしょうか?厚生労働省では中小企業を業種ごとに以下のように定義しています。

資本金の額または出資金の総額

または…

常時使用する労働者数

小売業

5,000万円以下

小売業

50人以下

サービス業

サービス業

100人以下

卸売業

1億円以下

卸売業

それ以外

3億円以下

それ以外

300人以下

引用:働き方改革関連法の主な内容と施行時期

上記の該当する場合は中小企業、それ以外は大企業ということになります。

 

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酒造業者に関連の深い2つの法案について

働き方改革関連法案の中で、酒造業者にとって特に関連のある法案が「残業時間の上限規制」と「同一労働同一賃金」でしょう。2つの法案についてより詳しく説明していきます。

 

残業時間の上限規制

労働基準法では1日8時間以上、週40時間以上の労働を原則として禁止しており、これを超える労働をさせる場合は基本給与の1.25倍の残業代を支払うことを、すべての企業に義務付けています。また、残業時間の規制は月間45時間未満、年間360時間未満と定められています。

ただし、企業と労使の協定によって規制以上の時間、残業させることができます。これを「36(サブロク)協定」と呼び、残業時間規制を大きく超えて労働させることも可能になります。しかし、過酷な労働環境によって重い病気を患ってしまったり、過労死してしまったりという事例がいくつもあります。これまで残業時間規制は事実上「青天井」であり、それが原因となって過酷な労働環境をいくつも生み出していました。

働き方改革関連法案では、たとえ繁忙期でも基本となる残業規制(月間45時間)を超えて労働できるのは年間を通じて6ヶ月と規制され、1年間の上限を720時間、さらに月間100時間未満、複数月平均80時間という規制が新しく追加されています。しかも、初めての「罰則付き法案」であるため、労働基準法にある月間45時間、年間360時間未満という残業規制が明確化されるようになります。

同一労働同一賃金

日本企業の多くは人件費削減や雇用問題の調整弁として、派遣社員や契約社員といった非正規社員が存在します。正社員と同一(あるいはそれ以上)の労働を行っているにも関わらず、給与や待遇面で大きな格差が生じていたのです。

そこで、そうした格差を無くすために施行されるのが同一労働同一賃金です。要するに、正規社員か非正規社員かを問わず、業務内容に応じて賃金や待遇を決めましょうという法案です。

この制度では勤続年数や成果、能力などが同じであれば正規社員も非正規社員も給与を同額にする必要があり、休暇や教育制度といった待遇面も同じようにしなければいけません。

以上2つの法案は、酒造業者にとって見逃せないものですし、この機会に自社の残業時間を確認したり、削減への取り組みをしたりと、正規社員・非正規社員の待遇面での見直しを検討してみてはいかがでしょうか?

 

残業時間削減のためにシステム化する

企業は、単純に「残業禁止」を訴えても仕事量は変わらないので、社員はサービス残業をしたり仕事を持ち帰ったりする可能性があります。また、同じ仕事量を残業せずに短時間でこなすのは無理があり、モチベーションの低下など会社にとって好まないことが発生する可能性があります。

そのためには作業時間や作業内容などの経営資源の見える化や社員の生産性を向上させる仕組みや取り組みが重要であり、システム化が注目されています。多くの酒造業は、今、働き方改革への対応のみならず、利益確保および経営の効率化を実践するためにシステムの導入を行なっています。

システムを導入することで徹底した経営資源の見える化や管理、業務プロセスの合理化を行うことができるため、経営の問題点を把握したり、同じ仕事量でも短時間で効率的に処理したりできるようになるのです。もし、酒造業のシステムにご興味がございましたら弊社アウトソーシングテクノロジーまでお問い合わせください。

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